【シンガポール発 / 2024年8月22日 午後3:05】マレーシアが東南アジアの「安定の地」として急浮上している。経済成長の回復、安定した政権、そして上昇基調の通貨という好条件が重なり、長年見過ごされてきた同国市場に、外国人投資家の注目が再び集まっている。

今年に入り、マレーシアの債券や株式市場には外国資金が着実に流入しており、特に7月には、タイやインドネシアで政治的混乱が続く中、マレーシアの債券市場に17.5億ドル（約2,700億円）が流れ込み、過去1年間で最大の流入額を記録した。

過去10年以上で最も好調な成績

クアラルンプール証券取引所（.KLSE）は、過去10年以上で最も好調な年間成績を目指しており、勢いを増している。

アナリストによると、この好調を支えているのはマレーシア通貨リンギットであり、2024年においてアジアで最も好調な通貨とされている。今後、米連邦準備制度理事会（FRB）が利下げに転じれば、マレーシア債券の魅力がさらに高まり、リンギットのパフォーマンスも一層向上するとの見方が強まっている。

2024年アジアで最も好調な通貨

リンギットは木曜日、対米ドルで18か月ぶりの高値をつけ、年初来の上昇率は5％を超えた。今年初めには26年ぶりの安値圏に沈んでいたことを考えると、見違えるような回復ぶりだ。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのシニア・マルチアセット・ストラテジスト、ベン・ルク氏は、最近の円高を受けて、人気のキャリートレード（低金利通貨を借りて高金利通貨に投資する取引）が巻き戻され、「保有率が低く過小評価されていた」通貨への資金移動が進んだことで、リンギットが恩恵を受けたと述べている。

経済・政治の安定が追い風に

2024年第2四半期の経済成長率は過去18か月で最高を記録。2022年のアンワル・イブラヒム首相就任以降、政権は安定を維持しており、東南アジアの中で「政治リスクの少ない市場」として際立っている。

一方、タイでは政局の混乱、インドネシアでは新政権への不安が投資家心理を冷やしており、マレーシアの相対的な魅力が際立っている。中央銀行の統計によれば、外国人のマレーシア債券保有率はすでに20％に達している。

AIブームが株式市場を押し上げ、分散投資先として注目

株式市場も力強い。AI関連のデータセンターブームを背景に、マレーシアの主要株価指数KLCIは年初から12％以上上昇し、MSCI東南アジア指数の6％を大きく上回る成績を収めている。

M&Gインベストメンツのヴィカス・パーシャド氏は「建設、電力、インフラといった分野が注目されており、テックや消費関連に偏った他の市場に対し、こうした分散投資の可能性こそがマレーシアを魅力的な投資先にしている」と語った。

また、世界的には株式による資金調達が低迷している中、マレーシアでは活況を呈しており、最大手のミニマートチェーン「99スピードマート・リテール・ホールディングス」が、来月に5億900万ドル（約800億円）規模の新規株式公開（IPO）を予定している。

政策金利の維持がさらなる追い風に

今後は、アメリカを含む主要国で利下げが進む一方、マレーシア中銀は堅調な成長を背景に金利を据え置く姿勢を見せており、これがリンギットの下支えとなり、マレーシア債券の魅力をさらに高める見通しだ。

わずか3か月前まで、米10年債の利回りはマレーシア債を0.6％上回っていたが、現在ではその差も解消。利回りと通貨の両面で、マレーシア市場は「安定と成長の両立」が期待される稀有な投資先として、世界の注目を集めている。

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参考：Malaysia shines as foreign investors return, peers stumble

ジャンナ アリ

MYPRO CAPITAL SDN BHD 創業者&CEO（Since 2019）
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不動産ライセンス所有: REN33302（政府発行）
実績: 販売実績65件超、賃貸実績250件超、自身もマレーシア不動産所有＆投資運用中、TBS・中京テレビにてV6とTV出演実績
経歴: マレーシア・クアラルンプール出身。学費全額免除でマラヤ大学卒 (マレーシアの東大) 卒業後、政府公認の特待生 (学費全額免除) として名古屋大学へ留学し卒業。日本で就職経験を経て、2014年よりマレーシア不動産業界に携わる。(現在11年目)