マレーシア不動産契約が完全デジタル化。2026年から「eSPA」義務化し、購入手続きに変化

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【クアラルンプール】マレーシア政府は2026年1月1日から、住宅の売買契約を電子化した「eSPA(Electronic Sale and Purchase Agreement = 電子売買契約書)」の使用を正式に義務した。これにより、不動産購入手続きは大きな転換期を迎えている。

eSPAは従来の紙の売買契約書(SPA)とは異なり、政府の住宅統合管理システム「HIMS(Housing Integrated Management System)」上で自動生成されるデジタル契約書。契約は政府のデジタルIDアプリ「iDsaya」を使った電子署名のみが認められ、紙の署名は受け付けられなくなった。

 

iDsayaオフィシャルサイト

 

スマホで契約可能、海外からも署名

eSPA(電子売買契約書)導入の最大の特徴は、購入者がスマートフォンなどからどこでも契約できる点だ。契約データは国家住宅データバンク「TEDUH」に暗号化保存され、紙の保管は不要となる。

これにより

  • 郵送・持参の手間削減
  • 海外購入者の利便性向上
  • 政府によるリアルタイム追跡
  • 契約プロセスの短縮

といった効果が期待されている。

 

開発会社は未対応で罰則も

制度の運用責任はデベロッパー(開発会社)側にある。

eSPAを使用しない場合、

  • 高額罰金
  • 販売ライセンス取り消し
  • 住宅開発口座の凍結

などの行政処分を受ける可能性がある。

 

現場では混乱も 登録に1週間の遅れ

一方、導入直後の現在は“移行期トラブル”も発生している。

主な問題は以下の通り:

  • iDsayaの本人確認(eKYC)登録が集中し処理遅延
  • IC番号や価格などデータに誤字があると契約生成不可
  • 高齢者などデジタル手続きが困難
  • 銀行・弁護士・代理店がシステムに未慣熟

人気物件では電子署名発行まで約1週間かかるケースも報告されている。

 

まだ完全デジタルではない。土地移転は紙署名

なお重要な点として、不動産の所有権移転(Memorandum of Transfer)は依然として紙署名が必要

つまり現在は

  • 売買契約(SPA)= 電子売買契約 (eSPA) へ移行
  • 登記移転 = 紙のまま(※2026年2月現在)

という“ハイブリッド状態”が続いている。

土地事務所は黒または青黒インクの署名を依然要求しているためだ。

 

法律自体は変更なし

今回のeSPAは新しい法律ではなく、既存の住宅開発法(Housing Development Act 1966)に基づく契約書の「デジタル化」に過ぎない。契約内容や買主の権利に変更はないと専門家は説明する。

 

不動産購入手続きの比較(従来 VS eSPA)

 

項目従来プロセスデジタル eSPA(2026年〜)
申込紙の申込書提出同じ(申込書提出)
本人確認不要iDsayaでオンライン本人確認
契約書作成弁護士が手作業作成HIMS(政府の住宅統合管理システム)が自動生成
面談弁護士と対面説明対面不要(オンライン確認)
署名紙に手書き署名スマホで電子署名
所在地制限現地に行く必要あり海外から署名可能
所要時間数日〜数週間大幅短縮
保管紙保管政府データベースに保存
その他書類すべて紙一部は紙署名が必要

 


引用:Know Your Stuff: Electronic sales and purchase agreement (eSPA)

 

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