マレーシア史上最大「予算2026」を発表(財政赤字3.5%へ、国民支援と改革を両立)

【クアラルンプール=10月10日】マレーシアのアンワル・イブラヒム首相(兼財務相)は10日、総額4,700億リンギ(約11兆1,400億ドル)にのぼる史上最大の「予算2026(Budget 2026)」を国会で発表した。政府は来年、財政赤字を国内総生産(GDP)比3.8%から3.5%へ縮小することを目指しており、持続可能な財政運営と国民生活支援の両立を打ち出した。

 

 

経済成長率4〜4.5%を維持へ 「マダニ」理念の下で改革推進

政府は2026年の経済成長率を4〜4.5%と見込み、インフレ率は1.3〜2.0%の範囲に収まると予測。アンワル首相は「汚職の根絶、密輸対策、カルテル解体などのガバナンス強化を通じて、追加増税を行わずに国民負担を抑制する」と強調した。

今回の予算は、同氏の掲げる、持続性・思いやり・革新・繁栄・信頼といった価値観を打ち出した「マダニ(MADANI)国家構想」に基づき政策に反映している。

 

【予算総額は過去最大】運営・開発費で4,192億リンギ

今回の総額4,700億リンギには、政府系投資会社(GLIC)などの投資を含む。通常の運営・開発支出だけでも4,192億リンギと過去最高を更新。

内訳は以下の通り。

  • 運営費:3,382億リンギ(公務員給与・年金・行政費用など)
  • 開発費:810億リンギ(インフラ・教育・医療など)

政府歳入は3,431億リンギ(前年比+2.7%)を見込み、そのうち税収が2,704億リンギを占める。非税収はペトロナスからの配当減少でやや落ち込み、727億リンギ(▲9.9%)となる見通しだ。

 

タバコ・酒類税の引き上げ、炭素税も導入へ

国民の健康増進を目的に、11月からタバコ・酒類への物品税(エクサイズ)引き上げが実施される。

  • タバコ:1本あたり2セン増
  • 酒類:10%引き上げ

増収分は保健省に回され、肺疾患・糖尿病・心疾患の治療基金に充てられる。

また、2026年より炭素税(Carbon Tax)が導入予定。初年度は鉄鋼・エネルギー分野から開始し、「国家カーボン市場政策」および「気候変動法案」と連携して運用される。

 

現金給付・レモン法など国民生活を支援

生活支援策として、18歳以上の全成人を対象にRM100の現金給付金を2026年2月に再度支給。

今年8月にも同額が支給されており、支給額総計は150億リンギにのぼる。

また、自動車購入者を保護するための「レモン法(Lemon Law)」を導入し、消費者保護法を改正する方針も示した。(※レモン法とは、欠陥のある自動車や家電製品などを購入した消費者を保護するための法律。主にアメリカで発達した制度で、購入後に繰り返し修理しても直らない“ハズレ製品(lemon)”に対して、販売業者や製造業者に交換または返金を義務づける仕組み)

 

印紙税改革、住宅取得支援と抑制政策を併用

新予算では、住宅取得印紙税に関する改革も目立っている。まず、住宅価格が RM500,000 以下の物件を購入する初回ローカル買主向けには、売買契約・ローン契約双方の印紙税が 2027年末まで免除される措置を継続。

一方で、外国人個人や外国企業による住宅取得には、印紙税率を従来の4%から8%に引き上げることで、国内不動産市場への過度な外資流入を抑制しようという狙いがある。(実際に導入されるかは未確定)

さらに、商業ビルを住宅に用途転用・改装する事業者には、改装経費の10%相当(上限 RM10百万)を税控除するインセンティブを導入。これは、都市中心部での用途転換を促し、住宅供給の拡充を期待する政策だ。

また、労働契約についても緩和が図られ、月給 RM3,000 以下の雇用契約は印紙税が免除対象となるよう改正される(現行 RM300 以下)。

こうした印紙税改革には、住宅取得支援強化と過剰な投資抑制という双方の政策目的が込められており、住宅市場に与えるインパクトは注目されるところだ。

 

専門家「方向性は正しい、実行力が鍵」

OCBC銀行のラヴァニャ・ヴェンカテスワラン上級エコノミストは「現実的な成長見通しで、財政健全化と改革推進の両立を目指す“安定予算”だ」と評価。

PwCマレーシアのパトリック・テイ氏は「方向性は正しい。課題は“実行の徹底(delivery discipline)”にある」と述べた。

  

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参考:Malaysia PM Anwar unveils record US$111.4 billion Budget 2026

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